夜の駅のホームは、在宅ワーク人にとって新鮮だ。帰路につく人波の逆らい、電車に乗った。
離れて暮らしている両親は還暦を迎えた。定年、子育てと介護が終わり、気がつけば待ったなしで「老後」に足を踏み入れた。
完璧な準備など出来ないが、「残りの人生」を夫婦でどう過ごすのか、改めて問われたりする。
私も、そんな両親の様子を気にかける歳になった。立場は変わらずとも、月日とともに役割は変わっていくのを実感する。
そんな変化に気負いせず過ごしたいと、少し遠回りする。子供の頃からお気に入りの小道を抜け、実家に向かった。