supino blog

やりきれないエンジニアの日常

祖母

先日、祖母が永眠した。歯医者の帰りに転び左足を骨折した。急な入院とコロナで家族との面会が出来なかったのが、精神的に大きかったと思う。入院して数週間は電話が出来たが、強い鎮痛剤も影響してか、1ヶ月すると会話が出来なくなった。様々な要因が祖母を苦しめていた。病院より自宅の方が祖母にとっては幸せだろうと、私は強く自宅医療希望した。そんな矢先だった。

祖母は年齢や性別に関係なく笑顔で接し、愛想笑いや人を憎んだりしない人だった。時たま、おかしな発言をして周囲を困らせる一方で、根っこから素直でおおらかな性格は多くの友人を作った。

祖母とは同居していたが特別な出来事は多くない。それだけ母親代わりの存在だった。家族の健康を願った正月を過ごし、いつも通り歯の治療に出掛けただけだった。誰もが予期しない最後だった。

葬式の段取りをしている時に、母が自分の骨壷を選びたいと言った。最近は生前に選ぶ人も多いらしい。古希のお祝いは骨壷にしようと思った。祖母を自宅に連れて帰れなかった事に、遣る瀬ない思いを抱えていたが、葬式を手伝う事で心を締付ける痛みが和らぐのを感じていた。

祖父祖母は共に3月に87歳で永眠した。同じ月と歳で亡くなるのは珍しい事だろう。葬式が終わると、日常のふとした瞬間に、思い出が蘇る事が多くなる。葬式の様な場面では泣かないのに、そんな瞬間は寂しさが込み上げて仕方がない。物理的な繋がりを失った事を再認識させられるが、寂しさを感謝に変えていく事で、新しい繋がりを作っていくのだと思う。来年は桜道を歩きながら、遠くの人に思いをはせる、そんな月になるだろう。


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