子供の習い事が終わるのを待っている。 100円ショップとスーパで買い物を済ませると、残りの時間は自由だ。30分以上ある時は本屋に立ち寄る。
店頭まで少し早足で向かい、入り口付近に並べられた本の表紙を横目に眺めながら、店の奥に向かう。 本の選び方は毎回同じで、海外作家と日本作家のミステリーを1冊ずつ、目に止まった本を1冊購入する。
ネットでも本を買うが「ただ本が読みたい」という欲求を満足させてくれる体験は、本とリアルな接点がある場でないと満たせないものがある。 生活の主軸の場所にあり、数十分の休み時間で本を選びに行ける学校の図書館は最高だった。 子供の頃から本はよく読む方だった。高学年3年間は学校で1番本を読む子として毎年表彰された事は、平凡な私が唯一自慢できる事だ。
だが同じ本を読んでも、あの頃のように眠れなくなるほどの恐怖や興奮を味わう事はもうない。それは私自身の心の伸びしろが狭まったなと実感する一方で、現実とフィクションの差分を楽しめるようになったのは、大人になった今だから味わえる事だろうと思う。
最後の1冊は店頭に並べられた本の中から、その時の気分で選ぶ事が多い。だから何でこの本を買ったのだろうと、後日思うのはご愛嬌だ。