supino blog

やりきれないエンジニアの日常

試行錯誤の1年、その先に選んだ転職

変化を受け入れ、ビジネスと技術の橋渡しを学んだ一年

今年は、新規サービスや既存サービスの市場検証向け開発でスタートし、夏からはクラウドインフラの移行や既存システムの運用を継続しながらのシステム移行など、変化に富んだ一年でした。

新規プロダクトの開発では、上流工程での要件定義に時間がかかる中、事業方針が変更され、定義済みの要件が不要になるという予期せぬ事態が発生しました。単に技術的な最適化を追求するのではなく、ビジネスの目標や戦略に沿った設計が求められることを改めて理解しました。プロジェクトを進める中で、ステークホルダーが提示する要求を「事実」と「意見や仮説」に分類し、慎重に見極めることの重要性にも気付かされました。

この一年を通じて、ビジネスニーズと技術的実装を適切にアライメントする難しさを改めて認識するとともに、その重要性を深く考える機会となりました。単に言葉を交わすだけでなく、相互理解が確実に揃っているかを確認する必要性を痛感しました。特に、チームやステークホルダー間で「理解の揃え方」を工夫することで、コミュニケーションコストを削減し、プロジェクト全体をスムーズに進行させる鍵となることを強く実感しました。

残り1ヶ月を迎えて

今年、母が十二指腸がんと診断されました。胃カメラの検査で偶然見つかり、命を救われたのは担当医の「勘所」のおかげだったと思っています。「運が良かった」と言われることも多いですが、「勘所」という曖昧なものを可視化し、医局や病院の垣根を越えて学べるプラットフォームの必要性を改めて強く感じました。そうした医療DXと教育を融合したサービスに携われたことは、これまでのキャリアの中でも特別な意味を持っています。

現職には、会社設立1年目というタイミングで入社し、「誰かの役に立つエンジニアリングを届けたい」」という思いで仕事に取り組んできました。その中で常に意識してきたのは、「エンドユーザー」と「チームメンバー」の双方に価値を生み出すこと。サービスが形になる過程やチームが成長していく瞬間に立ち会えたことは、大きなやりがいでした。

今年は、事業縮小という厳しい環境下での試行錯誤の連続でした。MVP開発を成功させても、その先に進むことができず、コストだけがかさむという苦い経験もありました。それでも、試行錯誤を重ねるプロセスの中で得られた学びは多く、自分の課題以上にサービスやチームの課題に向き合うことで成長を実感できたのは、何より楽しい経験でした。

今の会社は4社目ですが、組織の掲げるビジョンが生み出すソーシャルインパクトの大きさを信じています。現状は事業縮小によりサービスの未来は不透明ですが、これまでに築いてきたものが多くの人々に影響を与える可能性はまだ残されていると感じています。

残りの1ヶ月は、このサービスやチームへの感謝を胸に、これまでの経験を次のステージに繋げる準備をしながら、全力で走り切りたいと思っています。

これから

来年2月から、外資系IT企業でTechnology Specialist (Digital Application & Innovation)として新たなキャリアをスタートします。クラウドネイティブ技術を活用し、PoCやMVPの推進を通じて、お客様の技術的な課題を解決し、ビジネスゴールの達成を支援する役割を担います。

今回転職を決意したのは、組織内の混乱によりアジリティ高く動くことが難しくなり、同じ議論を繰り返す状況が続いた結果、前に進めているという実感を得られなくなっていたからです。これまで、試行錯誤の中で学びや成長を得ることが多くありましたが、この停滞感を打開し、自分のキャリアを再び前進させるため、新しい環境での挑戦を選びました。

2011年にエンジニアとしてキャリアをスタートして以来、バックエンドエンジニアとして、フロントエンドからサーバーサイド、今はインフラに携わってきました。これまで一貫してサービス開発に携わってきた自分にとって、今回のキャリアチェンジは大きな転機であり、少し不安も感じています。しかし、この新しい挑戦を通じて、これまでの経験を活かすだけでなく、新しい視点を得て次のステージで価値を提供したいです。

クラウドインフラはその利便性から簡単に複雑化してしまうことがあります。その中で、いかにシンプルさを保ちながら、最適なソリューションを提案できるかが鍵だと考えます。デジタルの力を活用し、リソースの限られたお客様に迅速に価値を届けるだけでなく、既存の延長線上にとどまらない提案をできるよう、新しい環境で挑戦を楽しみながら力を尽くしていきたいと思います。